2011年4月10日日曜日

「RO」不正アクセス事件の民事訴訟,東京地裁で330万円の

 当サイトでも以前お伝えしたとおり,MMORPG「ラグナロクオンライン」で,上司のアクセス権限を盗用してゲーム内通貨を不正に作り出した職員(当時)に対し,ガンホー?オンライン?エンターテイメントは2006年11月6日に,東京地方裁判所に民事事件として提訴した。これは,「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」違反の刑事判決(東京地裁,2006年10月24日,懲役1年執行猶予4年)とは別のもので,以前の記事でも引用したが,訴件は以下のとおりだ。



当社が多年にわたる運営の努力の末作り上げたオンラインゲームとその信用,評判,人気を悪用し,当社の社会的評価?企業評価を著しく低下させました。同時に,一連の行為は幅広いメディアにおいても報道されており,多方面へ重大な影響をきたしております


 これに対して損害賠償請求がなされ,その金額は



信用毀損および機会損失,その他諸費用の合計


として,7486万円となっていた。



 「TBS News i」が報じたところによれば,本日(10月23日)東京地方裁判所はこの職員(当時)に対し,330万円の支払いを命ずる判決を下した。ガンホー側の主張に対しては,事件と売上減少との因果関係は認められないものの,原告の信用を傷つけたとしている。つまり「機会損失」は認められず,「社会的評価?企業評価の低下」が認められた形だ。

 なおこの件に関して,ガンホーのIR部門担当者は「まだ判決文が届いていないので,何もコメントできません」と述べつつ,「判決文到着後に社内で対応協議を行う」とした。



 機会損失を直接に立証することはたいへん難しいと思われるが,それが皆無であったとも,正直考えにくい。また,ガンホーの過去の発表によれば,被告が作り出したゲーム内通貨の売却益は5800万円以上とされており,この売却益は刑法の一般規定における「犯罪による利益の没収」の対象にはなっていない。もちろんそれは,ガンホー側の機会損失額とはまったく別のものなのだが,結果として今回の判決でも,被告が不正に得た「利益」は,ほとんど手つかずの状態となっている。

 新しいタイプの犯罪だけに,然るべき決着を求めるのが難しいのは確かだが,依然として社会的な不公正は是正されていないようにも思える。さしあたり,今後のガンホー側の対応が注目されるところだ。

引用元:レッドストーン rmt

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